2016年10月20日木曜日

北アルプスチャレンジ!・・・その5 『唐松岳登頂とその後・・・』


唐松岳山荘の側まで歩いて来た所で左を見たら牛首と呼ばれる鎖場があります。

鎖場って言うだけでつい行きたくなってしまうのですが・・・


ちょうどあの尖った山頂付近の稜線が険しいのでしょうか?

でも登山計画書には書いていない場所・・・「近くやし、ちょっとくらい寄り道したってええやん!」と、心の中で悪魔が囁く・・・

「あかん、あかん!そんなんしとったら、不帰ノ嶮(かえらずのつるぎ)に行く時間が無くなるわ!」と方向転換!


唐松岳山荘(正確には頂上山荘と書く)の入口を右に見ながら、スルーして北へと向かう。


少し下ってから唐松岳山頂までひたすら稜線を登る。


あの上が唐松岳山頂だ!

左(西側)を見ると・・・


本当ならこれを下って、向こうに薄ぼんやりと見える餓鬼山を登って、更にその向こうまで歩くはずだった。

こんな真っ白けの中でクマと遭遇する可能性も高い(餓鬼山には非難小屋もあるくらい)と考えたら、とてもスリリングですよね?

いや・・・是非またリベンジで訪れたい。


言っているうちにこの上が山頂です!


「よっしゃー!」

山頂に到着しました!

標高2700mにちょっと足りない唐松岳山頂です。


後ろを振り向けばさっきスルーした唐松岳山荘を見下ろせます。

山荘入口前から山頂までは、16分かかりました。



これは僕がバテて来ていると判断すべきなのでしょうか?



さっきまで登山マップに記される、目安のタイムを大幅に短縮して登って来たのに、ここに来て山荘から山頂までを限りなくニアなタイムで登って来たという事が、この後の行程において僕の判断を大いに迷わせたのである。

「通常20分かかるところであれば、なぜ12分くらいで登れなかったのだろう?」

そう思った瞬間、唐松岳山頂~不帰キレットまでの往復5時間10分は信憑性を増す。

たかが4分の遅れでも、積もれば大きなロスになる。

とりあえず神戸に唐松岳登頂を知らせる連絡をする。(山頂は辛うじて電波があった)

時間はこの時点で12:26

不帰キレットまで順調に行って帰って来たとして、ここへ戻ってくるまでに3時間半は最低でも見ておきたい・・・

ここから八方池山荘まで・・・登りが2時間20分(写真を撮りながらで)って来た事を考えた場合、約1時間半は最低でもかかると考えた方がいい。

そうなると最低でも5時間は滞在時間が欲しい。

ところがそれに加えて、本当に疲労が重なって予定よりも時間が押してしまった場合・・・

「いずれにしても16:30までに八方池山荘へ戻るのは厳しいな。不帰キレットまで行くのはやめよう。」


そして風と雨が強くなってきた。

視界が再び狭くなってくる。

スタッフや家族は無理せず下山しろと言うけど・・・

「いやいや、せっかく時間を作ってここまで来ておきながら、この先へ行かないのは罪でしょ?」

そう思って不帰ノ嶮3峰の上り口まで稜線を下る。

たった5分も行かないうちに不帰ノ嶮スタート!

不帰ノ嶮は南から行くと『3峰→2峰南峰→2峰北峰→1峰→不帰キレット』の順番に、登って下ってを繰り返す。

そして最大の難関は2峰北峰にある。

雨で岩場が滑ろうが、鎖場のチェーンが冷えて手がかじかもうが、突風がビュウビュウと吹き荒れようが・・・

それこそが醍醐味!

生きている証を生で感じれる瞬間!

滑落上等!落石上等!

そう思って覚悟を決めたはずなのに・・・

雲に覆われた不帰ノ嶮3峰を見上げて、携帯のカメラで撮影しようとした瞬間。

「あれ?なんでやねん!」

ずっと雨が降り続けている中で写真を撮影しまくって、唐松岳山頂では土砂降りの中電話をした事もあってか・・・

携帯の中に雨水が浸水し、カメラ機能がエラー!

その瞬間、僕の心がポキッと折れる。

せっかく悪天候の中、命懸けでチャレンジするのに、肝心な撮影ができないとか・・・

一眼レフはリュックに入れてきているけど、土砂降りの中でリュックを開けて取り出すのも嫌だったら・・・出した後、土砂降りの中カメラを首からぶら下げて歩くのも嫌だ。

どうする・・・?

個人的には行きたいけど、写真が撮影できないのは無意味。

そう考えた瞬間・・・「帰ろ・・・。」

それに喉が渇いて本当に辛かったので、とりあえず唐松岳山荘を目指す。

10分程で唐松岳山頂に登って、再び稜線沿いに下って山荘まで戻る。

丁度僕が山荘に到着した頃、10名ほどのパーティがインストラクター風の方の引率で山荘から出てきて出発して行きました。

この雨って考えたら八方尾根へ下山でしょうか?

山荘の入口扉が開いた奥にコカコーラの自販機が見えたので、僕は迷わず中へ入る。

コカコーラが1本400円だからといって文句は言いません!

ここまで運んでくるだけでも、きっとものすごい労力かコストがかかっている事でしょう。

そしてどれにしようか迷っていたら・・・

「ご宿泊ですか?ご休憩ですか?」って、山荘の方に声を掛けられてしまいました。(汗)

「いえっ、今日はもう下山しますので、休憩で・・・。」

「そうしましたら施設利用料が500円となっております!トイレだけでしたら300円・・・。」

えっ?自販機でドリンクを買おうと思っただけで妙な展開に・・・

そもそもジュースの缶も下山するまで持ち帰る気持ちでいたので・・・特にご迷惑をかけるつもりでも無かったのですが・・・

しかし山荘の方も運営とか大変だろうし、ここを利用する方々が今後も美しい自然環境を守って下さる事を考えると・・・

「あっ、施設利用で・・・あと、ホットコーヒーっておいくらでしょうか?」

「コーヒーは1杯550円になっております!」

「じゃあ、それもお願いできますか?」

「はい!そうしましたら合わせて1050円でお願い致します!」

という流れになってしまいました!(笑)

奥の食堂で待っていたら、ちゃんとコーヒーを運んで下さいました。

何だか僕の勝手な習慣で、山荘とかキャンプ場とかスキー場等になると、セルフサービスが当然だと思っていたんですけど・・・何だかちょっぴり得した気分。

それよりもブーツの中までびしょ濡れになった僕が食堂まで入ったお陰で、フローリングの床まで濡れてしまって、本当に申し訳ない!といった感じでした。

山荘のスタッフさんなのか泊まりの方なのかは判りませんが、皆さん気さくな方ばかりで、気分良くコーヒータイムを過ごせました。

ただやはり足先まで濡れたせいで、少々身体が冷えてきた僕は下山を急ぐ事にする。

このままだったら低体温症になり兼ねない・・・

そんな予感がしたので、山荘の方にお礼を言って立ち去りました。

時間は13:40頃だったと思います。

それでは次回・・・誰もいない山道で、再び奇跡が待ち受けている!

お楽しみに!

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